「できるフリ」が本物に化ける心理学の真相とは?成功法則の罠
「できるフリ」が本物に化ける心理学の真相とは?成功法則の罠についての真相を徹底解説します。
この格言が学術的なスポットライトを浴びる決定的な契機となったのが、2012年に社会心理学者エイミー・カディ(Amy Cuddy)氏が登壇したTEDカンファレンスです。彼女のプレゼンテーション「自分のボディランゲージが、自分をつくる(Your body language may shape who you are)」は、世界中で7,000万回以上再生され、TED史上屈指のバイラルコンテンツとなりました。
カディ氏の研究チームが提唱したのが、胸を張り手を腰に当てる、いわゆる「ワンダーウーマン」のような姿勢をとる「パワーポーズ」です。わずか2分間その姿勢を維持するだけで、テストステロン(支配性・自己主張に関わるホルモン)が上昇し、コルチゾール(ストレスホルモン)が減少するという実験データを提示し、世界に衝撃を与えました。
その後、心理学界における再現性危機の議論の中でホルモン値の変動については学術的な論争が起きたものの、2020年代以降の大規模なメタ分析では一貫して「主観的な自信の向上と行動の積極性に対するポジティブな効果」が確認されています。カディ氏は講演の締めくくりとして、従来のフレーズを一歩進めた次の言葉を残しました。
「Don't fake it till you make it. Fake it till you become it.(うまくいくまでフリをするのではない。本物になるまでフリをし続けなさい)」
一時的な誤魔化し(Make it)で終わらせるのではなく、自らのアイデンティティそのものを書き換える(Become it)ことこそが、このアプローチの真の到達点であると訴えかけたのです。