『火垂るの墓』作者・野坂昭如の壮絶人生と名作に秘めた贖罪の真相
話題沸騰中の 『火垂るの墓』作者・野坂昭如の壮絶人生と名作に秘めた贖罪の真相について、多角的な視点をご紹介しています。
原作小説『火垂るの墓』は、文芸誌『オール讀物』1967年10月号に掲載された短編小説です。映画版と同様に、物語は終戦直後の国鉄三ノ宮駅構内で衰弱死した14歳の少年・清太の遺体が見つかる衝撃的な場面から始まります。
物語の主軸は、空襲で母を失った清太が4歳の妹・節子を連れて親戚の家に身を寄せるものの、冷遇に耐えかねて横穴(防空壕)での自給自足生活を選ぶ過程です。配給が途絶え、物価が高騰する中、清太は妹のために畑の作物を盗み、空襲の火事場泥棒に手を染めていきます。
しかし、栄養失調に陥った節子は衰弱し、終戦直後に防空壕の中で息を引き取ります。清太は自らの手で妹の遺体を荼毘に付し、その骨をドロップの缶に収めて放浪の末、駅の構内で餓死を遂げるという、極めて過酷で救いのない結末を迎えます。原作は独特の饒舌体(句点を極力使わない息の長い文体)で書かれており、戦時下の凄惨な匂いや人間のエゴイズムが生々しく描き出されています。