小泉進次郎の「80歳年金」はデマ?発言の真相と受給年齢改革のリアル
小泉進次郎の「80歳年金」はデマ?発言の真相と受給年齢改革のリアルについて分かりやすく解説いたします。最新の情報をお届けします。
仮に将来的に「80歳繰下げ」が完全に法制化されたとして、それは一般の加入者にとって真に有利な選択肢となり得るのでしょうか。ファイナンシャルプランナーや社会保険労務士の間では、繰下げ受給に伴う「隠れたコストとリスク」への警鐘が鳴らされています。
第一のリスクは「損益分岐点」の壁です。現行の繰下げ増額率(月0.7%)で試算した場合、繰下げ受給で元を取る(65歳受給開始の累計額を追い抜く)ための損益分岐点は、受給開始からおおむね11年10ヶ月〜12年程度かかります。
- 70歳受給開始の場合:損益分岐点は約81歳11ヶ月
- 75歳受給開始の場合:損益分岐点は約86歳11ヶ月
- 80歳受給開始の場合(仮定):損益分岐点は約91歳11ヶ月
厚生労働省の簡易生命表によると、日本人男性の平均寿命は約81歳、女性は約87歳です。80歳まで受給を我慢した場合、男性の平均寿命を大きく超え、92歳近くまで健康に生き延びなければ累積受給額でプラスになりません。早くに亡くなってしまった場合、積み立てた年金の多くを回収できないまま終わるリスクがあります。
第二の盲点は「税金と社会保険料の逆襲」です。年金支給額が84%や126%と大幅に増額されると、その分だけ所得税・住民税が急増し、国民健康保険料や介護保険料の負担区分が跳ね上がります。さらに、医療費窓口負担が1割から2割・3割へと引き上げられるリスクも生じます。額面上の年金が2倍近くに増えても、実際の手取り額はそこまで伸びないという現象が起きるのです。
【プロの結論】繰下げ受給を選ぶべき人・避けるべき人の判断基準
年金受給時期の選択において、万人に共通する正解はありません。制度の罠に陥らないための具体的な判断基準を整理します。
【繰下げ(70歳以降)を前向きに検討すべき人】
- 70歳以降も事業収入や給与所得が十分にあり、当面の生活費に一切困っていない人
- 直系尊属(両親や祖父母)が揃って長寿であり、自身の健康状態にも極めて自信がある人
- 十分な預貯金・有価証券を保有しており、年金を「超長寿時のインフレ対策保険」と割り切れる人
【原則通り65歳(または早期繰上げ)で受給すべき人】
- 健康に不安があり、退職後のゆとりある時間を早めに楽しみたい人
- 手取り額の最大化を目指し、税や社会保険料の過度な負担増を避けたい人
- 配偶者がおり、加給年金(65歳未満の配偶者がいる場合に上乗せされる年金)を受け取れる権利がある人(繰下げ中は加給年金が支給停止となるため)