大量発生の脅威か救世主か?キャノンボールクラゲと水産の最前線
大量発生の脅威か救世主か?キャノンボールクラゲと水産の最前線の真相について、最新情報を取りまとめてご紹介します。
海中を弾丸のように突き進むこの生物の正体は、学名をキャノンボールクラゲ(Stomolophus meleagris)という。分類学上は根口クラゲ目(Rhizostomeae)に属し、私たちが砂浜で見かける一般的なクラゲとは大きく異なる特徴を持つ。もっとも際立つのは、風鈴のように垂れ下がる細長い触手が存在しない点だ。その代わりに発達した頑強な口腕(こうわん)が傘の下部に凝縮されており、これが密集した筋肉の塊となって力強い推進力を生み出す。
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多くの遊泳者がもっとも懸念する「毒性と危険性」について、海洋生物学の知見は意外な事実を突きつけている。ハブクラゲやカツオノエボシのような致命的な猛毒は持たない。人間が触れた場合、皮膚の薄い部位に軽微な発赤や痒みを生じさせる程度であり、刺激物質を含む粘液が目に入らない限り重篤な被害に至るケースは極めて稀だ。毒針による刺傷よりも、むしろ筋肉質な体躯そのものが網を圧迫し物理的な破壊をもたらす点に、漁業者たちが恐れた「害」の本質があった。