矢沢永吉マイクターンの真実|特注スタンドの秘密と70代の肉体美
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ファンならずとも一度は目にしたことのあるあのアクションは、いつ、どのような経緯で生まれたのか。時計の針を巻き戻すと、伝説の原点はキャロル解散後の1970年代後半、矢沢永吉がソロアーティストとして日本中をサーキットしていた黎明期に行き着きます。
当時の特番インタビューや自著・手記で語られたエピソード、そして草創期を支えたツアースタッフの回想によると、発端は入念に計算された振付ではなく、ライブ中に湧き上がった剥き出しの感情でした。演奏中のボルテックスが最高潮に達した瞬間、昂るパッションの持って行き場を失った矢沢が、目の前にあったストレートマイクスタンドを無意識に足先で蹴り飛ばしたのです。その際、スタンドは転倒することなく床面を滑らかに滑り、遠心力によって美しい円を描いてピタリと手元に戻ってきました。
「これだ」と直感した矢沢は、このハプニングを再現性の高い必殺技へと昇華させるべく、リハーサルスタジオで何百回、何千回と蹴り方を検証しました。海外のロックシンガー、例えばロッド・スチュワートやスティーヴン・タイラーらもスタンドを振り回す派手なアクションを見せていましたが、スタンド自体を自律的に高速回転させて手元へリターンさせる技は、世界中を探しても矢沢永吉ただ一人。偶然の産物を唯一無二の芸術へと鍛え上げた瞬間でした。