日清戦争の風刺画「魚釣り爺さん」の真相|ビゴーが描いた思惑と歴史
日清戦争の風刺画「魚釣り爺さん」の真相|ビゴーが描いた思惑と歴史の基本情報から最新動向までを徹底的にカバーしました。
この風刺画(原題:『トバエ』第1号掲載の挿絵)を読み解く第一歩は、描かれた登場人物の正体を正確に把握することです。画面上には4つの主権国家の意図が巧みに投影されています。
まず、画面左手で洋服を着て釣り竿を構えているのが近代化を進める日本です。対する右手で、伝統的な辮髪(べんぱつ)と民族衣装をまとい、同じく竿を握りしめているのが大国・清(中国)を表しています。二人が必死になって釣り上げようとしている川の中の魚には「朝鮮(Korea)」と記されており、両国が朝鮮半島における主導権を激しく奪い合っている様子が一目で伝わります。
そして最も重要なのが、二人の頭上にかかる橋の上から腕を組み、不敵な笑みを浮かべながら見下ろしている男です。この人物こそがロシア帝国であり、日本と清が疲弊した隙に魚を横取りしようと待ち構えています。故事成語である「漁夫の利」を視覚化したこの配置こそ、ビゴーの卓越した構成力の真骨頂です。