50歳早期退職はいくらで可能?独身・夫婦の必要資金と落とし穴
50歳早期退職はいくらで可能?独身・夫婦の必要資金と落とし穴の具体的な内容に迫る! わかりやすい言葉で紐解きます。
早期退職シミュレーションにおいて、最も抜け落ちやすいのが「公的社会保険の負担増」と「将来の公的年金の受給減」です。会社員時代は労使折半で会社が半分負担してくれていた制度が、退職と同時に一変します。
退職翌年に襲いかかる住民税と健康保険料の激変
まず直面するのが、早期退職後の国民健康保険料と任意継続の選択問題です。国民健康保険料は前年の所得(1月〜12月)を基準に算定されるため、退職直前の年収が800万〜1,000万円あった場合、退職翌年の健康保険料は各自治体の上限額(年間約100万円規模)に跳ね上がります。さらに前年所得に対する住民税(約50万〜80万円)の納付書が一気に届くため、退職後1年目は「手取りゼロの無収入状態」でありながら150万〜200万円近い公的負担を一括で支払わなければなりません。
この対策として、最長2年間利用できる「健康保険の任意継続制度」の活用が鉄則です。任意継続は労使折半がなくなり全額自己負担となるものの、各健康保険組合や協会けんぽには保険料の算定上限が定められています。多くのケースで国民健康保険に加入するよりも年間の保険料を20万〜40万円以上圧縮できるため、退職前に必ず上限保険料を照会し、試算を比較しておく必要があります。
50歳退職で生じる厚生年金の生涯受給額ギャップ
もうひとつの不可逆的な損失が、50歳退職時の厚生年金受給額と減額リスクです。公的年金のうち「老齢基礎年金(1階部分)」は国民年金保険料を40年間納付すれば満額を受給できますが、給与額と加入月数に比例する「老齢厚生年金(2階部分)」は、退職と同時に加入期間がストップします。
仮に50歳(平均年収750万円・大卒勤続28年)で退職し、その後60歳まで厚生年金に加入しなかった場合、60歳まで同等の年収で勤め上げた同僚と比較すると、65歳以降に受け取れる厚生年金の額面は年間で約40万〜50万円程度目減りします。65歳から85歳までの20年間で計算すれば800万〜1,000万円以上もの受給総額差が生じる計算です。退職時に「割増金を2,000万円上乗せしてもらった」と喜んでいても、将来受け取るはずだった年金の減少分や退職金控除の枠を考慮すると、実質的な経済的メリットは見た目の数字より大幅に目減りしている点に注意しなければなりません。