なぜ分母を足してはダメなのか?分数の足し算のやり方と裏ワザ解説
なぜ分母を足してはダメなのか?分数の足し算のやり方と裏ワザ解説について押さえておきたい ポイントを厳選して解説いたします。
動画共有プラットフォームやSNSの学習系アカウントで定期的にバズを生むのが、「分数足し算たすき掛けの裏ワザ(バタフライ法)」だ。「学校では教えてくれない超スピード計算術」として持て囃されるこの手法は、公式「a/b + c/d = (ad+bc) / bd」をビジュアル化したものに過ぎない。
具体例として「1/3 + 2/5」を計算する場合、分母同士を掛け合わせた「3×5=15」を新分母とし、分子には対角線上の数値をクロスさせて掛けた値の和「1×5 + 3×2 = 5+6=11」を一気に乗せる。一瞬で「11/15」が導き出されるため、通分という概念をバイパスできる魔法の杖のように映る。
ネット上の情報では「この裏ワザさえ知っていれば通分は不要」と無責任に煽る言説も散見されるが、ここには重大な盲点が存在する。分母同士が互いに素(公約数を持たない)である場合は極めて効率的だが、分母同士に公約数がある場合、数値が爆発的に膨張してしまうのだ。
たとえば「5/12 + 7/18」をたすき掛けで処理しようとすると、分母は12×18=216、分子は5×18 + 12×7 = 90+84=174となり、「174/216」という巨大な分数が現れる。ここから約分を完了させるためには、2で割り(87/108)、さらに3で割る(29/36)という複雑な約分作業を強いられ、かえって時間を浪費し、約分漏れの失点を招く。最小公倍数「36」を見つけて解けば、15/36 + 14/36 = 29/36と、暗算レベルで完結する。
結論として、たすき掛けは「分母が互いに素である小規模な計算」や「時間制限の厳しいSPI試験での検算」には極めて有用だが、公約数を持つ複雑な分数計算に乱用するのは極めて危険な悪手と言わざるを得ない。