ジェッソとは?劇的下地効果の実態と絵の具の違い・100均代用をプロが検証
ジェッソとは?劇的下地効果の実態と絵の具の違い・100均代用をプロが検証の背景について、専門知識を取りまとめてご紹介します。
画材ビギナーが最も陥りやすい誤解が、「手元にあるチタニウムホワイトのアクリル絵の具で下塗りをすれば代用できるのではないか」という思い込みです。しかし、塗料工学の観点から両者の成分組成を見ると、全く異なる設計思想で作られていることが分かります。
通常のアクリル絵の具(白色)は、滑らかな光沢感や均一な塗膜の伸び、耐水性を追求しているため、アクリルエマルジョンの比率が高く、乾燥するとプラスチックフィルムのようにツルツルとした不浸透性の表面になります。ここに別の絵の具を重ね塗りしても摩擦抵抗が足りず、絵の具が上滑りしたり、マスキングテープを剥がす際に下の層ごとベリベリと剥がれてしまう事故が頻発します。
対してジェッソは、多孔質な炭酸カルシウム(体質顔料)の比率が極めて高く調合されています。そのため乾燥後の表面はわずかに刷毛目を残したマット(艶消し)状となり、上塗り塗料をガッチリと掴んで離しません。
また、立体的なテクスチャ表現でよく比較される「モデリングペースト」との混同にも注意が必要です。ジェッソは支持体をフラットに整えるための液体ですが、モデリングペーストは大理石の微粉末を高密度に練り込んだパテ状のメディウムです。ナイフで数センチの隆起を作るような物理造形にはモデリングペーストを用い、その乾燥後に全体の吸込みを均一化するためジェッソを薄くオーバーコートするという併用がプロフェッショナルの定石です。