「これ・それ・あれ」迷う理由とは?こそあど言葉の仕組みと実践マナー

「これ・それ・あれ」迷う理由とは?こそあど言葉の仕組みと実践マナーに関する知りたいポイントを徹底的にまとめました。要点を確実におさえることができます。

私たちが「これ」と言うべきか「それ」と言うべきか迷ってしまう背景には、日本語特有の空間認識と縄張り意識が関係しています。言語学や認知心理学の研究において、こそあど言葉使い分けの理由は単なる「メートル単位の距離」ではなく、発話者のテリトリー(勢力範囲)に対する意識にあると指摘されています。

目の前に実物がある場面を指す「現場指示」において、基準となるのは話し手と聞き手の位置関係です。この体系は主に4つの領域に分類されます。

  • 近称(こ系列):話し手の縄張り・心理的領域の内側にあるもの(これ、ここ、こちら)
  • 中称(そ系列):聞き手の縄張り・心理的領域の内側にあるもの(それ、そこ、そちら)
  • 遠称(あ系列):話し手・聞き手双方の縄張りの外側にあるもの(あれ、あそこ、あちら)
  • 不定称(ど系列):対象が特定されていない、あるいは疑問を示すもの(どれ、どこ、どちら)

対面で話している際、自分の手元にある資料は「この資料」、相手の手元にある資料は「その資料」、少し離れたホワイトボードは「あの記述」と自然に選べるのは、この縄張りが明瞭だからです。ところが、オンライン会議やテキストチャットのように「双方が同じ空間を共有していない環境」では、どちらの領域に属するかの認知が揺らぎ、使い分けの迷いが生じます。

さらに複雑なのが、文章中や記憶の中の出来事を指す「文脈指示」です。現場指示と文脈指示のルールには明確な境界線があり、ここを混同することがコミュニケーションのすれ違いを引き起こす最大の要因となっています。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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