公用車事故の損害賠償責任は誰に?国賠法と判例から読み解く真相
公用車事故の損害賠償責任は誰に?国賠法と判例から読み解く真相についての最新情報をご紹介します。
被害者への賠償責任を行政側が果たす一方で、市民感情として生じるのが「事故を起こした職員は一銭も払わず、すべて税金で補填されるのか」という疑念です。この調整弁として機能するのが、国家賠償法第1条第2項に定められた「求償権(きゅうしょうけん)」の制度です。
同条項では「公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する」と明示されています。行政が被害者へ賠償金を支払った後、その費用を事故を起こした職員個人に対して請求できるか否かは、過失の度合いによって明確に線引きされています。
判例(最高裁昭和53年9月7日判決など)および各自治体の損害賠償事務処理規程において、求償権の行使は厳格に判断されます。前方不注意や一時不停止などの「軽過失」にとどまる場合、求償権は行使されず、自治体が加入する自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)や全国自治協会等の公用車共済、任意自動車保険から損害額が支払われます。公務に伴う内在的リスクを組織として負担する建前があるためです。
一方、以下のような「重大な過失」や「故意」が認定された場合、自治体は職員個人に対して支払額の一部または全額の求償を実施します。
- 著しい速度超過(制限速度を30km/h以上超過など):制動距離が著しく伸びることを認識しながらの運転。
- 酒気帯び・飲酒運転:正常な運転ができない状態での走行。
- スマートフォンの注視・操作(ながら運転):前方への視線完全離脱による事故。
- 赤信号の明確な無視:他車や歩行者への危険を顧みない暴走。