漢字の成り立ち本おすすめ決定版!大人と子供が一生ハマる古代の真相
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漢字の成り立ちを語る際、ネット上の情報や一般書には少なからず学問的な「対立」と「誤解」が存在します。その最たるものが、伝統的な『説文解字』派と、文化勲章を受章した巨儒・白川静による「白川文字学」の解釈の相違です。
2000年近くの間、東洋の漢字解釈における絶対的正典とされてきた『説文解字』は、後漢時代に成立したため、当時まだ地中に埋もれていた甲骨文字を著者の許慎は直接見ていませんでした。そのため、小篆(秦代の文字)を基盤に儒教的な道徳観でこじつけられた解釈が少なくありませんでした。たとえば「王」という字について、説文解字は「天地人を貫く三本線を一本の縦線が束ねる形」と儒教的に説明しました。
これに対し、白川静は発掘された甲骨文・金文を徹底的に精査し、「王」は巨大な軍事指揮官用の鉞(まさかり)の刃の形を象ったものであると論破しました。王とは徳のある聖人君子ではなく、武力と祭祀権を握った軍事独裁者であったというリアリズムです。また、漢字の「口(くち)」について、従来の辞書は人間の口と説明してきましたが、白川学説では神への祈り文(祝詞)を入れる器である「サイ(𠙵)」であると定義し、器に神の霊が降りることで「吉」となり、器に蓋をするのが「告」であると解き明かしました。
現代の一般向け書籍でも、文部科学省の検定教科書系辞書は依然として伝統的な説文解字の穏当な説をベースにしていることが多く、一方で教養新書や白川流の書籍は呪術説を前面に出しています。ネット上の俗説には「どちらか一方のみが絶対的に正しく、他方はすべて間違いである」とする極端な言説も見受けられますが、現代の文字学研究では双方の学問的功罪を冷静に位置付ける視点が主流です。1冊の本の解説を鵜呑みにせず、どの学説の立場から書かれた本なのかを把握することが、リテラシーを高める上で極めて重要です。