映画『国宝』は実話か?吉沢亮と横浜流星が挑む歌舞伎の裏側と元ネタ
映画『国宝』は実話か?吉沢亮と横浜流星が挑む歌舞伎の裏側と元ネタについての疑問解決ガイドを徹底解説します。
結論から明かすと、映画『国宝』のストーリー自体は実在の特定人物をそのまま描いたノンフィクションではない。しかし、完全な空想の産物かと言われれば答えは「ノー」だ。物語の根底には、長年歌舞伎界を支えてきた数々の名優たちの逸話や、伝統芸能の光と影が濃密に織り込まれているからだ。
作中のエピソードや役柄の造形において大きなモチーフとされているのが、昭和から平成にかけて女形として一世を風靡した伝説的役者たちの足跡である。特に、稀代の女形として知られ、後に人間国宝となった五代目坂東玉三郎氏の存在は、物語に計り知れないリアリティを与えている。血縁関係のない家柄から芸一本で這い上がり、頂点へと極めていく喜久雄の姿は、血統主義が色濃い歌舞伎界で異能の才を発揮した実在の名優たちの苦難と見事に重なり合う。
関係者に取材を重ねる中で見えてきたのは、原作者や制作陣が歌舞伎の楽屋裏や稽古場に何度も足を運び、何年もの歳月をかけて「芸の業(ごう)」を吸い上げたという事実だ。実話そのものではない。だが、そこに息づく人間の汗と血の匂いは、紛れもなく本物の歌舞伎史そのものなのだ。