なぜ今「一汁八菜」が空前のブーム?一汁三菜との違いと贅沢献立の真価

なぜ今「一汁八菜」が空前のブーム?一汁三菜との違いと贅沢献立の真価の基礎知識と応用に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

ブームが過熱する一方で、インターネットやSNS上では一汁八菜に対する誤解や懸念の声も散見されます。特に多く見られる2つの盲点について、取材に基づく事実関係を整理します。

1つ目の懸念は、「おかずが8品もあると、塩分過多になり高血圧のリスクを高めるのではないか」という指摘です。しかし、これは和食の調味構造に対する初歩的な誤解に基づいています。本物の和食店や正しい知識に基づく献立設計では、8品すべてに濃い醤油味をつけることは決してありません。酢の物による「酸味」、胡麻和えや白和えによる「油脂とうま味」、おひたしによる「出汁の風味」、生野菜や果実の「素材本来の甘味」といった具合に、味付けのバリエーションを意図的に分散させます。出汁(グルタミン酸やイノシン酸)を効かせることで、食塩の使用量を1品あたり0.3〜0.5g前後に抑える技術が用いられており、トータルの食塩摂取量は、ラーメン1杯(5〜7g)や一般的な洋食定食よりもはるかに低くコントロールすることが可能です。

2つ目の誤解は、「自宅で8品も用意するのは現実的ではなく、富裕層や料理系インフルエンサーだけの見せかけではないか」という声です。毎食ごとにゼロから8品を同時調理しようとすれば、プロでも途方に暮れます。しかし、現在家庭で実践されている一汁八菜の現場を取材すると、実態は全く異なります。週末に仕込んだ作り置き おかずや、常備菜(きんぴら、ひじき煮、ピクルスなど)、市販の発酵食品(納豆、キムチ、もずく酢)を器に移し替えているだけというケースが大多数です。つまり、一汁八菜とは「調理の労力を8倍にする作業」ではなく、「ストックを組み合わせて小鉢 盛り付けの技術で視覚を再構築する知恵」なのです。

山口 彩花

山口 彩花

写真家・フォトエディター

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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