トムとジェリー最終回の真相|老衰説と線路の悲劇をプロが徹底検証

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公式に存在するにもかかわらず「幻の最終回」と誤認され、今なお視聴者に強いトラウマを植え付けている問題作が、1956年に劇場公開された第103話『悲しい悲しい物語』(原題:Blue Cat Blues)です。

本作は、いつものドタバタ劇(スラップスティック・コメディ)とは一線を画す、フィルム・ノワール調の暗鬱なトーンで進行します。トムは高嶺の花である白猫に心を奪われ、借金を重ねて高級車や指輪を買い与えますが、莫大な財力を持つ金持ち猫のブッチにあっさり恋人を奪われてしまいます。失意の底でアルコール(作中ではミルク)に溺れ、ボロボロになったトム。ジェリーはそんなトムを親身に励まし続けますが、ラストシーンではジェリー自身の恋人までもが富豪ネズミに乗り換えたことが発覚します。

絶望した2匹は、雨の降る薄暗い踏切の線路の上に力なく腰を下ろし、遠くから列車の汽笛と轟音が近づいてくる場面で画面が暗転。そのまま幕を閉じます。命を絶つ直接的な描写こそないものの、明らかに心中を暗示する演出であり、アメリカ本国でも「カートゥーン史上最もダークな幕切れ」と評されています。このエピソードの異様な後味の悪さが、視聴者の記憶の中で「あまりに救いがないため打ち切られた最終回」へとすり替わっていったのです。

また、これに並んで有名なのが1949年公開の第42話『天国と地獄』(原題:Heavenly Puss)です。居間で寝ていたトムが重いピアノの下敷きになって圧死し、魂が天国行きの列車「ヘブンリー・エクスプレス」の駅へと向かいます。しかし改札係から「ジェリーを虐待した罪があるため、許しの証明書にサインをもらわなければ地獄行きだ」と宣告され、急いで現世に戻りジェリーに懇願する展開です。最終的に煮えたぎる大釜に落ちそうになった瞬間、暖炉の火の粉で目が覚め、「すべては悪夢だった」と安堵してジェリーを強く抱きしめるというオチでした。生死を扱った生々しい描写が、都市伝説の格好の素材となったことは間違いありません。

伊藤 翔太

伊藤 翔太

フード&トラベルライター

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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