クールベ『世界の起源』の真相|モデルの正体と130年の封印を解く

クールベ『世界の起源』の真相|モデルの正体と130年の封印を解くの要点を分かりやすくまとめてご紹介します。

2013年、フランスおよび世界の美術界を震撼させるセンセーショナルな報道が飛び交いました。あるアマチュア美術愛好家がパリの蚤の市で約1,400ユーロ(当時のレートで約18万円)で購入した女性の顔の肖像画について、「これこそが『世界の起源』から切り離された上部の顔部分である」と主張し、大手週刊誌『パリ・マッチ』などが大々的に報じたのです。ネット上では「世界の起源 顔 見つかる」というトピックが爆発的に拡散され、クールベが描いた全体像がついに完成するのかと世界中が息を呑みました。

しかし、所蔵元であるオルセー美術館の公式な専門調査チームおよびクールベ研究の権威たちは、この説を即座に、かつ断固として退けました。オルセー美術館が発表した詳細な技術鑑定報告によると、以下の客観的事実から「顔の絵」は無関係の習作か後世の別作品であると結論づけられています。

第一に、カンバスの織り目、下地処理の化学組成、そして絵の具層の経年変化が『世界の起源』の本体と完全に一致しません。第二に、クールベが用いた木枠の構造やカンバスの裁断面を科学分析した結果、本作は制作当初から縦46cm×横55cmという規格サイズ(風景画用の10号サイズ)の枠に合わせて張られており、何者かによって大きな絵から切り取られた痕跡が一切存在しないことが証明されました。顔を意図的に枠外へと追いやる構図こそが、観る者の視線を冷徹に肉体の現実へと縛り付けるクールベの計算された芸術的意図だったのです。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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