野田佳彦の人柄と評判の真相|実直さと頑固さの狭間にある素顔
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野田氏の揺るぎない政治信条を育んだ源流は、早稲田大学政治経済学部を卒業後に入塾した松下政経塾の第1期生としての過酷な修練にあります。パナソニック創業者である松下幸之助氏が「21世紀の日本を担う指導者の育成」を掲げて私財を投じたこの私塾で、野田氏は徹底した現場主義と「素直な心」の重要性を叩き込まれました。
塾生時代、野田氏は特別な地盤(組織)・看板(知名度)・鞄(資金)を持たない青年でした。その境遇から彼が選び取ったのが、毎朝欠かさず駅前に立ち、マイクを握って政策を訴える「朝立ち」でした。千葉県船橋市の津田沼駅や西船橋駅を中心に、雨の日も雪の日も続けられたこの街頭演説は、通算数千日におよび、現在に至るまで同氏の代名詞となっています。通行人が誰も足を止めない早朝から一人で声を張り上げ続けた歳月が、どんな逆境でも動じない精神力と、大衆の心理を肌で掴み取る観察眼を養いました。
この泥臭い現場主義が全国に強烈なインパクトを与えたのが、2011年8月の民主党代表選における、いわゆる「どじょう演説」です。当時、財務大臣から首相候補へと名乗りを上げた野田氏は、詩人・相田みつをの詩を引用し、次のように語りかけました。
「どじょうがさ金魚のまねすることねんだよ。金魚には金魚の良さがある。どじょうにはどじょうの持ち味がある。私は金魚のように華やかではなく、泥臭い政治を愚直に進めていく」
当時、華やかな言葉で国民の期待を煽りながらも混迷を深めていた鳩山由紀夫政権・菅直人政権への反省が党内に充満するなか、自らをあえて「どじょう」に例え、着飾らない等身大の姿を提示したこの演説は、議員心理を大きく揺さぶり、大逆転での代表選勝利を呼び込みました。計算されたポピュリズムではなく、自らの容姿や地味な経歴を客観的に受け入れた上でのユーモアと自己開示――これこそが、松下政経塾で培われた「素直な心」の発露でした。