横浜中華街の老舗閉店が相次ぐ決定打|聘珍樓破産と街の劇的変容

横浜中華街の老舗閉店が相次ぐ決定打|聘珍樓破産と街の劇的変容の要点や背景をコンパクトにまとめました。全体像を一目で把握できます。

なぜ、あれほどの名声を誇った名門店が暖簾を下ろさざるを得なかったのか。関係者への取材や帝国データバンク等の信用調査資料を総合すると、老舗を追い詰めたのは単一の要因ではなく、「宴会文化の崩壊」「後継者不足」「商業地価とテナント料の高騰」という3つの構造的激震が同時に押し寄せた結果であることが判明しました。

最大の引き金となったのは、長期に及んだ感染症拡大に伴う生活様式の不可逆な変化です。横浜中華街の大型老舗店は、500席から1,000席を超える巨大なビルを一棟丸ごと構え、企業の歓送迎会、冠婚葬祭、修学旅行などの大型団体客を主軸に据えるビジネスモデルで成り立っていました。しかし、リモートワークの定着と企業の交際費削減により、平日夜の団体予約はかつての水準に復帰していません。客単価1万円以上のコース料理と紹興酒で潤っていた大型店ほど、稼働率低下による赤字の垂れ流しが致命傷となりました。

これに追い打ちをかけたのが、華僑社会における深刻な「後継者不足」です。横浜中華街の発展を担ってきた来日第2世代・第3世代の子弟は、高学歴化に伴い医師、弁護士、金融業、IT関連など多様な専門職へ進出するケースが急増しました。過酷な厨房修行と年中無休に近い店舗経営を引き継ぐ親族が不在となり、創業者一族の高齢化とともに「一代限りで店を畳む」決断を下すケースが後を絶ちません。

さらに、大通りを中心とする坪単価5万円から10万円超とも言われる「テナント料の高騰」が、昔ながらの手間暇かけた料理店を締め出す要因となっています。家賃を回収するためには客の滞在時間を極限まで削るか、原価率を抑えて回転数を上げるしかなく、その結果として「短時間で満腹になる低価格バイキング」や「ワンハンドのテイクアウト専門店」が急速に増殖する土壌が完成してしまったのです。

山本 拓海

山本 拓海

ヘルス&ウェルネスアドバイザー

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest