眉をひそめるの意味と誤用を徹底解説|眉を曇らせるとの決定的な違い
眉をひそめるの意味と誤用を徹底解説|眉を曇らせるとの決定的な違いの要点を丁寧に掘り下げてご紹介します。
慣用句としての眉をひそめるの読み方は「まゆをひそめる」です。漢字では「眉を顰める」と表記します。「顰」という漢字は常用漢字表外であるため、一般的な公用文や新聞表記では「ひそめる」とひらがなで表記されるのが通例です。
国語辞典における基本的な定義は、「他人の言動や好ましくない事態に対して、不快、嫌悪、非難、あきれの気持ちを抱いて眉の間にしわを寄せる」というものです。重要なのは、単に身体的な痛みで顔をゆがめるのではなく、道徳的・倫理的な反発や、相手のマナー違反に対する不快感や非難の心理表現として機能している点です。
この表現の背景には、中国の古典『荘子』天運篇に収められた故事「顰(ひそみ)に倣(なら)う」が存在します。春秋時代、越国の絶世の美女・西施(せいし)は、持病の胸の痛みに耐えかねて眉間にしわを寄せて(=顰めて)歩いていました。その憂いを帯びた姿があまりにも美しかったため、同じ村の容姿の劣る女性が「自分も眉をひそめれば美しく見えるはずだ」と真似をしたところ、村人たちが気味悪がって逃げ出したというエピソードです。
この故事は「分別のない者が無暗に他人の真似をして失敗する」という教訓(「顰に倣う」)を生み出すと同時に、「不快さや苦しみから眉を寄せる動作」を指す「顰める」という動詞を定着させました。また、周囲から非難や嫌悪を向けられることを意味する「顰蹙(ひんしゅく)を買う」の「顰」も同一のルーツを持っています。