大相撲の毛深い力士はなぜ存在?協会の身だしなみ基準と脱毛事情
大相撲の毛深い力士はなぜ存在?協会の身だしなみ基準と脱毛事情の真相や最新動向に迫る! わかりやすい言葉で紐解きます。
一般社会では「髭も胸毛も同じ体毛」と捉えられがちですが、大相撲の世界において両者の扱いは決定的に異なります。ファンが疑問に抱く「なぜ胸毛は許されるのに髭は厳罰対象なのか」という疑問の背景には、日本相撲協会の身だしなみ基準が定める厳格な境界線が存在します。
2019年2月、日本相撲協会はコンプライアンス委員会および理事会において、力士の身だしなみに関する新たな内規を制定しました。この際、「不潔な髭の禁止」「過度にもみあげを伸ばすことの禁止」「過度な整髪料やタトゥーの禁止」が明確に通達されました。いわゆる力士髭禁止理由の根底にあるのは、大相撲が単なるプロスポーツではなく「神事」であるという絶対的矜持です。
大相撲の土俵は神が降り立つ聖域とされており、力士は神前で相撲を奉納する存在です。そのため、土俵に上がる者は「清潔」「品格」「礼節」を体現しなければなりません。髭を生やしたまま土俵に上がる行為は、対戦相手や神仏に対する無礼と見なされます。過去にはゲン担ぎで無精髭を伸ばした力士が審判部から厳重注意を受けた事例もあり、現在では朝の稽古前に髭を綺麗に剃ることが義務付けられています。
一方で、大相撲体毛規定において胸毛やすね毛を制限するルールは一切存在しません。胸毛は人為的に生やす髭とは異なり、「生まれ持った自然の肉体そのもの」と解釈されているためです。神事に臨むにあたり、作為的な装飾(髭や奇抜な髪型)を排する一方で、天から授かったあるがままの身体を否定しないという相撲界独自の論理が、力士胸毛ルールの根底に流れています。