映画史最大の幻『生きたメキシコ』なぜ未完に?巨匠の狂気と波乱の全貌
映画史最大の幻『生きたメキシコ』なぜ未完に?巨匠の狂気と波乱の全貌の詳細について、最新情報を取りまとめてご紹介します。
1920年代後半、世界的な名声を得たセルゲイ・エイゼンシュテインは、トーキー(発声映画)技術の調査や新たな表現手法を求め、撮影監督のエドゥアルド・ティッセ、助監督のグリゴリー・アレクサンドロフを伴って西欧からアメリカ・ハリウッドへと渡りました。しかし、パラマウント映画との企画は政治的・芸術的な対立から次々と頓挫。失意の底にあった彼に救いの手を差し伸べたのが、アメリカの著名な社会主義作家アップトン・シンクレアでした。
シンクレア夫妻を中心とする出資者グループの支援を取り付けたエイゼンシュテインは、1930年12月、かねてより強く惹かれていたメキシコへと足を踏み入れます。画家ディエゴ・リベラやフリーダ・カーロらとも交流を深めながら、古代マヤ・アステカ文明の記憶、過酷な植民地支配の歴史、そしてメキシコ革命を経て息づく民衆の生命力に圧倒された彼は、当初予定されていた小規模な旅行記録映画の枠を大きく踏み越え、メキシコの歴史と魂を包括する壮大な映画詩の構想へと舵を切りました。