歌のフェイクとは?アドリブとの違いとプロが崩して歌う理由・練習法
歌のフェイクとは?アドリブとの違いとプロが崩して歌う理由・練習法とはどんな影響があるのか? 専門的な分析を丁寧に紐解いて紹介します。
フェイクの上達には、卓越した技術を持つプロフェッショナルの歌唱を分析し、その節回しのニュアンスを真似る「モデリング」が極めて効果的です。日本の音楽シーンにおいて、フェイクが上手い歌手として国内外から絶賛される代表例とその特徴を紐解きます。
まず筆頭に挙げられるのがMISIAです。圧倒的な5オクターブの音域とホイッスルボイス、そしてゴスペル仕込みの完璧なピッチコントロールにより、大サビの最高潮において複雑なメリスマとダイナミックなフェイクを寸分の狂いもなく展開します。「Everything」などのライブバージョンで見せるフェイクは、原曲の美しさを損なうことなく楽曲のスケール感を何倍にも拡張しています。
続いて、日本のR&Bシーンのパイオニアである久保田利伸です。彼のフェイクの真骨頂は「リズムのタメと跳ねの絶妙さ」にあります。メロディを大きく変えるだけでなく、日本語の音節をファンキーな英語のイントネーションのようにリズミカルに崩す技術は、天性のグルーヴ感の結晶と言えます。
さらに、現代のネット世代にも絶大な影響を与える宇多田ヒカルや藤井風の存在も見逃せません。宇多田ヒカルは繊細な息混じりのファルセットとブルーススケールを組み合わせた哀愁あるフェイクを得意とし、藤井風はジャズピアノの高度なコード理論に裏打ちされた、意表を突くテンションノートへの音程跳躍をいとも自然に歌いこなします。
これから練習を始める方に向けたフェイク練習曲おすすめとしては、以下の楽曲が最適です。
- 初級者向け:『Pretender』(Official髭男dism)
原曲のメロディが非常にキャッチーであるため、サビ終わりの語尾を少し後ろに引っ張るリズムフェイクの練習に最適です。 - 中級者向け:『First Love』(宇多田ヒカル)
テンポがゆったりとしたバラードであり、母音の響きを活かした繊細な音程のスライドや裏声への移行(メリスマ)をじっくり確認できます。 - 上級者向け:『LA・LA・LA LOVE SONG』(久保田利伸)
16ビートの軽快なリズムに乗りながら、ペンタトニックスケールを用いた本格的なR&Bスタイルのボーカルフェイクを総合的に鍛えることができます。