旧近衛師団司令部庁舎の現在|工芸館移転の真相と知られざる見学法
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凄惨な歴史の一方で、純粋な建造物としての評価は極めて高く、明治後期の日本の近代化を象徴する傑作として評価されています。設計を担当したのは、明治陸軍屈指の建築技師であった田村鎮(たむらまもる)です。
1910年(明治43年)に竣工したこの建物は、ゴシック風洋風建築を基調としながら、陸軍施設らしい簡潔さと規律正しさを併せ持つ独特の様式美を備えています。
- ファサードのシンメトリー:建物の中心にそびえる中央玄関の塔屋を軸として、左右均整の取れた堂々たるファサードを構成。
- 八角形の張り出し(スレート葺き):正面両翼に配置された八角形の小塔が、重厚な赤レンガにリズミカルな陰影をもたらしています。
- 精緻な赤レンガ建築:イギリス積みで端正に積まれたレンガと、窓枠や胴蛇腹に配された白の花崗岩が美しいコントラストを創出。
第二次世界大戦末期の空襲による屋根の焼失や戦後の放置を経て、一時は解体の危機に瀕しましたが、建築界や文化財保護運動の高まりによって保存が決定。1972年(昭和47年)には、明治期の軍事関係建築物として極めて稀少であることから北の丸公園の重要文化財に指定されました。その後、半世紀以上にわたる緻密な復元工事を経て、現在目にする気品ある姿を取り戻したのです。