なぜスズメが幼虫をくわえる?知られざる子育ての秘密と食性の真相
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秋になると実った稲穂をついばむため、日本の農村部では古くから「農業害鳥」として追い払われてきたスズメ。案山子(かかし)や鳴子、防鳥ネットの歴史はスズメとの知恵比べの歴史でもありました。しかし、近年のアグロエコロジー(農業生態学)の再評価において、スズメが持つ「益鳥」としての圧倒的な害虫駆除能力が改めて脚光を浴びています。
春から初夏の稲や野菜の育苗・生育期において、親鳥1ペアが繁殖期間中に捕食・給餌する昆虫幼虫の数は、1シーズンあたり数千匹から1万匹以上に達すると試算されています。もしスズメがいなければ、キャベツや小松菜、果樹の新芽はアオムシやヨトウムシによって壊滅的な食害を受けることになります。
歴史上、このバランスを破壊して大惨事を招いた有名な教訓があります。1950年代後半の中国で行われた「大躍進政策」における除四害運動です。穀物を食べる害鳥としてスズメを徹底的に駆除した結果、翌年以降に天敵を失ったイナゴやイモムシなどの害虫が大発生し、深刻な飢饉を招く一因となりました。種子を食べる側面だけを切り取れば害鳥に見えますが、子育てのために凄まじい密度の幼虫を狩り尽くす生態系サービスを考慮すれば、スズメは日本のアグリカルチャーを陰で支える重要な「生物農薬」の役割を果たしていると言えます。