年金の経過的加算とは?計算方法や増額の裏ワザと繰り下げの罠
年金の経過的加算とは?計算方法や増額の裏ワザと繰り下げの罠の基礎知識と応用に迫る! わかりやすい言葉でまとめました。
多くの受給者が最も知りたい「結局、いくら増えるのか」という疑問は、厚生年金の被保険者期間を分解することで数学的に解き明かすことができます。支給額を導き出す計算式は、法令で明確に定められています。
【経過的加算の計算式】
[定額部分相当額]-[老齢基礎年金相当額]
=(1,701円 × 改定率 × 厚生年金被保険者期間の月数【上限480月】)-(満額の老齢基礎年金 × 昭和61年4月以降で20歳以上60歳未満の厚生年金被保険者月数 ÷ 480月)
※単価は2024年度以降の水準を参照。毎年度のマクロ経済スライド等によりわずかに改定されます。
この計算式の核心は、引き算の「左側(定額部分)」と「右側(老齢基礎年金)」でカウントされる被保険者月数のルールの違いにあります。老齢基礎年金は厳格に「20歳以上60歳未満」の期間しかカウントされません。一方で、定額部分は「20歳未満」や「60歳以上70歳未満」に厚生年金に加入していた期間も、上限480月(40年)に達するまでしっかりカウントされます。
具体的なシミュレーションを見てみましょう。大学卒業後に22歳から60歳まで38年間(456月)会社員として勤務し、60歳の定年以降は厚生年金に加入しなかったAさんの場合、左側と右側の月数はともに456月となります。この場合、単価の微小な差額(1,701円と老齢基礎年金満額の月割り単価の差)しか生じないため、加算額は年間わずか400円〜数百円程度にとどまります。
一方、高卒で18歳から働き始め、60歳までに42年間(504月)厚生年金に入っていたBさんの場合、左側の月数は上限の480月、右側(20歳〜60歳)は480月となり、こちらも差額はわずかです。しかし、真に恩恵を受けるのは「22歳で就職して60歳時点では456月しか加入していなかったが、60歳から62歳まで再雇用で厚生年金に加入し、合計480月を満たしたCさん」のようなケースです。
Cさんの場合、右側の月数は456月のまま固定されますが、左側の月数は60歳以降の勤務により480月まで伸長します。その結果、引き算の差額として年間約4万〜5万円以上の加算が恒久的に発生します。さらに、自営業期間や学生時代の未納期間があり老齢基礎年金が満額に満たない人が60歳以降に厚生年金で働いた場合、この差額は年額十数万円に跳ね上がることも珍しくありません。
自身の見込み額を確認したい場合は、日本年金機構から届く「ねんきん定期便」(特に50歳以上の節目に届く封書版)が確実な情報源となります。「老齢厚生年金」の項目を開き、報酬比例部分の下に「経過的加算」として独立した金額が記載されているかを確認してください。公表されている年金見込額にすでに組み込まれているため、別途手計算する必要はありません。