「競歩は体に悪い」は嘘か本当か?膝・腰への負担と怪我のリスクを検証
「競歩は体に悪い」は嘘か本当か?膝・腰への負担と怪我のリスクを検証に関する疑問や疑問点をわかりやすくまとめました。今すぐチェックことができます。
「競歩に取り組んだとたん、膝の内側やすねが激痛に襲われた」という訴えは、初級・中級者を問わず頻発します。競技特有の動きがどの部位にどのような病態をもたらすのか、解剖学的に分解して整理します。
1. 膝の痛み(伸展強制による関節包の圧迫)
競歩初心者が真っ先に直面するのが、膝の裏側や皿(膝蓋骨)周辺の痛みです。膝をまっすぐにロックさせた状態で踵から鋭角に着地するため、膝関節の過伸展(ハイパーエクステンション)が強制されます。これにより、膝後方の関節包や靱帯が過剰に牽引され、同時に膝蓋大腿関節への圧迫力が跳ね上がります。これが「競歩で膝を壊す」と言われる生体力学的な主因です。
2. 腰痛の悪化と股関節へのストレス
着地時に膝で衝撃吸収ができない分、代償作用として働くのが骨盤と腰椎です。骨盤を前後・上下に大きく振る「骨盤の動き」は、胸椎と腰椎の接合部や仙腸関節に強い回旋トルクを生み出します。陸上関係者のトレーナーは次のように証言します。 「市民ランナーがフォームだけを模倣して競歩歩行を行うと、回旋可動域の狭い腰椎を無理にひねってしまい、椎間板ヘルニアやすべり症の既往歴がある人は一発で悪化します。骨盤を正しくコントロールする腹圧と腸腰筋の強靭さがないまま骨盤を振るのは、背骨をすり鉢で挽くようなものです」 さらに股関節では、大腿骨頭が寛骨臼(受け皿)に強い角度で押し込まれながら擦れ合うため、股関節インピンジメント(FAI)や股関節唇損傷を引き起こすリスクが高まります。
3. すねの痛み(シンスプリント)と前脛骨筋炎
競歩では踵からの明確な接地が求められるため、足首を上へ強く反らせる「背屈」を繰り返します。この際、すねの前部にある前脛骨筋には凄まじい筋活動が要求されます。つま先を無理に引き上げながら高速で足を前に振り出す動作を繰り返すことで、すねの内側にある骨膜が引っ張られて炎症を起こすシンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)や、前脛骨筋腱炎の発生率が跳ね上がります。