舌切り雀の本当の結末と怖い原話|大きいつづらの中身と雀の正体とは
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インターネット上のコミュニティや知恵袋などで散見される最大の誤解は、「おじいさんは完全無欠の聖人であり、おばあさんは根っからの悪魔である」という単純化されたレッテル貼りです。この浅薄な二元論に真っ向からメスを入れたのが、戦時下の1945年に発表された太宰治の短編集『御伽草紙』に収録された「舌切雀」でした。
太宰治版において、おじいさんは「世俗の労働を放棄し、現実逃避として雀を可愛がる無気力な高齢男性」として描かれます。対するおばあさんは、日々の生活費を稼ぎ、家の維持管理を一手に引き受ける苦労人です。おばあさんが雀の舌を切ったのは単なる残虐心ではなく、自分を省みず小鳥にうつつを抜かす夫への激しい嫉妬と、生活困窮の焦燥感からでした。太宰はこの作品で、「善良だが無責任な夫」と「口うるさいが家庭を守ろうとする妻」のすれ違いという、極めて現代的な夫婦の亀裂を抉り出しています。
雀のお宿を訪れたおじいさんが体験する酒宴も、太宰の手にかかると「老人の儚い逃避行」として描かれます。小さいつづらを選んだのは謙虚さゆえではなく、重いものを持つのが億劫だった無欲という名の気力の衰弱でした。この太宰の鋭利な解釈は、現代の文芸批評家からも「昔話の脱構築における最高峰」と称賛されており、大人が読み直すべき名作として今なお版を重ねています。