統合失調症の陰性症状とは?怠けとの違いと家族が知るべき回復の道筋

統合失調症の陰性症状とは?怠けとの違いと家族が知るべき回復の道筋に関する知りたいポイントを初心者にも親しみやすくまとめました。詳細を読もうことができます。

「本人の心がけ次第で起き上がれるのではないか」「ゲームやスマホを見ているなら家事もできるはずだ」――ネット上の相談掲示板や当事者家族の間で最も頻出するこの誤解こそが、当事者を最も追い詰める要因です。

陰性症状における意欲低下や感情鈍麻の背景には、脳内の神経伝達回路の機能異常が存在します。脳内画像研究(PETやfMRI)によると、中脳辺縁系でのドパミン過剰が陽性症状を引き起こす一方、前頭葉皮質(中脳皮質系)におけるドパミン伝達の低下や機能不全が、意欲の創出や報酬予測、感情コントロールの麻痺(陰性症状)に直結していることが確認されています。

さらに、急性期において激しい幻聴や妄想に晒された脳は、極度の興奮状態によって神経エネルギーを使い果たしています。いわば「ブレーカーが落ちた状態」であり、過負荷から脳自身を守るための生体防御反応として活動レベルを強制的に抑制している側面があるのです。この生理的状態を「怠け」と解釈して叱責したり叱咤激励したりすることは、骨折した患者に「走れば治る」と無理やり運動を強いるのと同義です。

また、陰性症状とうつ病の違いについても正確な見極めが求められます。うつ病では「自分が悪い」「申し訳ない」という強烈な自責の念や悲哀感が前面に出るのに対し、統合失調症の陰性症状では感情そのものが平板化し、悲しみすら湧いてこない「無感情・無関心」が主調となります。この鑑別を誤ると、不適切な抗うつ薬の投与によって精神運動興奮を惹起する恐れがあるため、専門医による精緻な診断が不可欠です。

山本 拓海

山本 拓海

ヘルス&ウェルネスアドバイザー

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest