かじって後悔ゼロへ!渋柿と甘柿の見分け方とプロの渋抜き裏ワザ
話題沸騰中の かじって後悔ゼロへ!渋柿と甘柿の見分け方とプロの渋抜き裏ワザについて、主要な情報を分かりやすく掲載しています。
そもそも、なぜ柿には人を悶絶させるほどの渋みが存在するのでしょうか。その犯人は、果肉の細胞内に蓄えられているポリフェノールの一種「タンニン(カキタンニン)」です。ここで多くの人が勘違いしやすい盲点があります。実は、甘柿にも渋柿にも、含まれているタンニンの総量自体には決定的な差がありません。
違いを生み出しているのは、タンニンが「水溶性」か「不溶性」かという化学的形態です。渋柿に含まれるタンニンは水に溶ける性質(水溶性)を持っています。これを噛み砕くと、タンニンが口内の唾液に瞬時に溶け出し、舌表面の粘膜タンパク質と結合して凝固させます。このとき生じる強い収れん作用(引き締められる感覚)を、脳は激しい「渋み」として知覚しているのです。対して甘柿は、成熟の過程でタンニン同士が結合して高分子化し、唾液に溶けない「不溶性」へと変化しています。唾液に溶けないため味蕾を刺激せず、果実に元々含まれる果糖やショ糖の甘みだけがストレートに舌へ届きます。
このメカニズムを知ると、「渋柿も常温で置いて追熟させれば甘くなるのでは?」というネット上で散見される説の誤りが分かります。結論から言えば、通常の追熟だけで水溶性タンニンが消えることはありません。放置して実が崩れるほど柔らかくなると、ゼリー状の果肉が舌を覆うことで物理的にタンニンが唾液に触れにくくなり、渋みを感じにくくなる現象(軟熟)は起こります。しかし、化学的に渋が抜けたわけではないため、加熱したり崩し方を変えたりすると再び口中に強烈な渋みが広がります。
一方で、伝統食である「干し柿」に渋柿が好んで使われるのは極めて合理的な理由があります。渋柿はタンニンに隠れているだけで、純粋な糖度を計測すると18〜22度前後と、甘柿の代表格である富有柿(15〜16度)を大きく上回る圧倒的なポテンシャルを秘めています。皮を剥いて天日干しにすることで、乾燥ストレスと細胞の破壊によってアセトアルデヒドが生成され、タンニンが完全に不溶化します。その結果、凝縮された天然の極甘スイーツへと変貌を遂げるのです。