ステンレスとアルミの見分け方完全版!磁石や重さで即判別するプロの裏ワザ
ステンレスとアルミの見分け方完全版!磁石や重さで即判別するプロの裏ワザの注目ポイントを分かりやすくまとめてご紹介します。
「磁石を近づけてくっつけばステンレス、くっつかなければアルミ」という言説がネット上に散見されますが、金属工学の観点から言えばこれは重大な誤解です。この誤った常識を信じ込んでいると、貴重な金属スクラップの分別を誤ったり、購入時の素材選定で手痛い失敗を招く原因になります。
ステンレス鋼は主成分の鉄にクロムやニッケルを添加した合金ですが、金属組織の結晶構造によって大きく3つのグループに分類されます。なかでも、家庭用流し台や高級鍋、水筒などに幅広く採用されているオーステナイト系ステンレス(代表格であるSUS304やSUS316)は、基本的に磁石につきません。
SUS304に磁石がつかない理由は、金属内部の原子配列が「面心立方格子(FCC構造)」と呼ばれる対称性の高い結晶構造をとっているためです。この状態では電子のスピンが互いに打ち消し合い、外部からの磁界に反応しない非磁性を示します。つまり、「磁石がつかないからアルミだろう」と早合点すると、極めて高価なSUS304ステンレスを見落とす事態に陥るのです。
ただし、現場検証において注意すべき例外も存在します。オーステナイト系ステンレスであっても、プレス加工や強い曲げ加工、絞り加工が施された箇所(シンクの角や鍋の縁など)は、金属組織が局所的に「加工誘起マルテンサイト」へと変態します。その結果、加工部分だけに弱く磁石が吸い付くという現象が起こります。磁石単体での判定はあくまで参考材料に過ぎず、決定打にはなり得ないのが金属識別のシビアな現実です。