ハイケンスのセレナーデ誕生秘話と国鉄チャイム採用の数奇な真相
今注目を集めている ハイケンスのセレナーデ誕生秘話と国鉄チャイム採用の数奇な真相について、主要な情報を分かりやすく掲載しています。
車内放送設備に組み込まれたハイケンスのセレナーデのオルゴール装置は、東京の八幡電気産業などが製造を担当しました。放送マイクの横に備え付けられた小型レバーを手動で回すと、内部のゼンマイが巻き上げられ、金属製のシリンダーが回転して18弁前後の櫛歯(コーム)を弾く純機械式の構造です。
この装置の最大の魅力は、機械ならではの「自然な揺らぎ」にあります。ゼンマイの巻き加減や気温、長年の使用による経年変化によって、テンポが微妙に変化します。巻き始めは少し速く、終盤に向けてゆっくりと余韻を残しながら減速していく独特のテンポ感は、デジタル録音されたIC音源では決して再現できない温もりを生み出しました。
ハイケンスのセレナーデの楽譜を見ると、冒頭部分はト長調(G major)や変ロ長調(B-flat major)で軽快に跳ねるリズムが特徴ですが、鉄道オルゴール用には音域と櫛歯の本数に合わせた専用のアレンジが施されています。主旋律の骨格だけを抜き出した簡潔な8小節の編曲が、車掌の肉声アナウンスと完璧に調和する設計となっていました。