届かぬ想いが漂着する粟島の漂流郵便局!奇跡の実話と手紙の出し方
届かぬ想いが漂着する粟島の漂流郵便局!奇跡の実話と手紙の出し方にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。
この場所は、2013年に開催された瀬戸内国際芸術祭の参加作品として産声をあげた。構想したのは現代美術家の久保田沙耶氏。粟島を訪れた彼女は、かつて船乗りたちが集ったこの島の歴史や、役目を終えて静まり返っていた旧郵便局舎の空気感に強く心を揺さぶられたという。
作品の骨格は極めてシンプルだ。「届け先の分からない手紙を受け付け、預かり続ける郵便局」。単なる鑑賞型の現代アートにとどまらず、人々が実際に手紙を送り、それを読みに訪れることで完成するソーシャル・プラクティス・アートとして設計された。瀬戸内国際芸術祭実行委員会もその意義を認め、会期終了後も島を代表する恒久展示として維持されることとなった。
当初は一過性のイベントで終わるはずだった。しかし、会期が終わっても郵便受けには途切れることなく手紙が届き続けた。今やその総数は数万通を数える。デジタル社会の即時的なコミュニケーションからこぼれ落ちた、重く深い想いを受け止める「受け皿」が、この海辺の片隅に求められていたのだ。