夜トイレに起きる原因とは?危険な病気のサインと今すぐできる改善策
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夜中にトイレで目が覚める原因は、決して単一ではありません。泌尿器科医が診断を行う際、大きく分けて次の4つの病態・疾患に分類されます。
1. 膀胱容量の低下(過活動膀胱・前立腺肥大症)
膀胱に十分な尿が溜まっていないにもかかわらず、勝手に膀胱の筋肉(排尿筋)が収縮してしまうのが過活動膀胱です。国内の患者数は40歳以上の男女で800万人以上と推計されています。急激に抑えきれない尿意に襲われる「尿意切迫感」が特徴です。
一方、男性特有の原因として圧倒的多数を占めるのが前立腺肥大症です。尿道を取り囲む前立腺が加齢とともに肥大し、尿道を圧迫して尿の通り道を狭めます。50歳代の約半数、70歳代では7割近くに肥大が認められます。初期は「尿の勢いがない」「出始めに時間がかかる」といった症状ですが、進行すると残尿が増えて膀胱の実質的な容量が減り、夜間に何度も起立せざるを得なくなります。
2. 尿そのものが夜間に増える「夜間多尿」
夜間頻尿の患者のうち、実に約8割に関与しているとされるのが夜間多尿です。通常、人間は睡眠中に「抗利尿ホルモン(バソプレシン)」が脳下垂体から分泌され、尿を濃縮して作る量を減らす生体リズムを持っています。しかし、加齢に伴いこのホルモン分泌リズムが崩れると、昼間と同じペースで尿が生成されてしまいます。さらに高血圧治療薬(利尿剤)の服用や、塩分の過剰摂取も夜間尿量を増加させる大きな誘因です。
3. 下肢の血流うっ滞と心臓・血管障害(下肢静脈瘤・むくみ)
デスクワークや立ち仕事で日中に長時間同じ姿勢を続けていると、重力によって水分や血液が下半身に滞留します。これが「夕方の足のむくみ」です。夕方から夜にかけてふくらはぎに溜まった水分は、夜間に横になって就寝した途端、重力から解放されて血管内へと再吸収され、心臓へと一気に還流します。
心臓は「血液(体液)が急に増えすぎた」と感知し、体液量を減らそうとして利尿ホルモン(hANP)を分泌します。その結果、眠っている間に腎臓で大量の尿が作られてしまうのです。下肢静脈瘤を抱えている人や、軽度の心不全、腎機能障害を持つ人に典型的に見られるメカニズムです。
4. 睡眠障害と睡眠時無呼吸症候群(SAS)
「尿意があるから目が覚める」のではなく、「眠りが浅くて目が覚めたから、ついでに尿意を意識する」という逆のパターンも少なくありません。特に見逃されやすいのが睡眠時無呼吸症候群です。睡眠中に気道が塞がって呼吸が止まると、胸腔内が強い陰圧になり、心臓に過度な負担がかかります。すると心臓が過剰な伸展刺激を受け、尿を排泄させようとするホルモンが分泌されて尿意が生じます。いびきをかく人や、朝起きた時に口が渇いている人は、泌尿器だけでなく呼吸器の精査が必要です。